塾長コラム

COLUMN

加藤塾長の
マンスリーコラムMonthly Columun

003
2024.09
国語が5教科の基礎である

みなさん、こんにちは!進学アカデミーFUJIの加藤です。
今回のコラムは「国語が5教科の基礎である」ということを深く掘り下げてみたいと思います。

「教科書でもワークでもテストでも、全て日本語で書かれている。数学でも、数や文字(XやYなど)を使うとは言え、考えるときは必ず言葉で考える。英語も、帰国子女や余程スピーキングの上級者でない限りは、頭の中で一旦日本語に変換し、再び英語としてアウトプットする。だから、5教科の土台として国語が大事なんだ」―――

このようなことは「国語が5教科の基礎だ」という話において必ずと言っていいほど言われます。
たしかに、これ自体はその通りですし、否定はしません。
ですが、この考えは結局のところ、「国語は5教科の基礎である。なぜなら国語以外の教科も全て言葉で書かれているからだ」と言っているのとほとんど変わりません。
それはその通りのことであって、当たり前のことです。(まるでとある政治家の〇〇構文みたいですね)
「国語が5教科の基礎だ」ということの本当の意味は、その先にあると私は思っています。
「国語が5教科の基礎」となる、本当の意味とはなんでしょうか。
そもそも国語の文章は、語彙を除いて構造のみを整理すると、以下の3つに概ね集約されます(概ね、というのは一部例外もあるのですが、今回例外は省きます)

① 具体(説明)と抽象(話題、主張、結論)。
② 因果関係(原因と結果)。
③ 対比(話題に対する主張と反論)。 
※カッコ内は一例です。

国語の文章を正確に読解し、各問で聞かれていることに正しく答えるためにまず大切なのは、文章全体を①~③の 構造で捉え直し、書かれている情報を整理し直す、ということです。文章の先を読み進めなければ次に何が書かれているか、筆者が言いたいのは何かなど、本来分かるはずはないのですが、どんな文章でも少なくとも①~③の要素は書かれているわけです。ですので、国語の文章読解は、「読書」というより「取材」(情報集め)に近いと言えます。

この先の具体的な読解法について、ここではこれ以上深入りしません。今回のテーマは「国語はなぜ5教科の基礎と言えるのか」でした。話を戻しましょう。

国語の読解力を高めるということは、言い換えれば、①~③の感度を高めるということです。ですので、国語はたんに問題を多く解いていても点数は上がりません。どんな文章でも①~③の構造に分解するといったトレーニングを行う必要があります(実際に線を引いたり、キーワードを〇で囲んだりする)。

「文章を構造で分解する」という本当の意味での読解ができてくると、国語の点数は平均点以上で安定してくることが多いです。

では、他の4教科はどうなのかというと、やはりそれらの点数も底上げされてきます。国語で養った①~③に対するアンテナが他の教科でも働くからと、私は考えています。

②「因果」や③「対比」もさることながら、とりわけ大事なのは①の「具体」と「抽象」。数多く、複雑に絡み合った情報(具体)を紐解き、「つまり、それってこういうことなんだ」とまとめ(抽象)、本質をつかむ力は学力を向上させるうえで不可欠な能力といっても言い過ぎではありません。

国語同様、言語を扱う英語は言わずもがな、数学の文章題然り、理科や社会の資料の読み取り問題然り、記述問題然り…です。

各教科における問題のみならず、学力向上のポイントそれ自体を突き詰めていくと、具体と抽象のやりとりをスムーズにできるようになることではないかと、いろんな生徒を見ていて思うようになりました。もちろん他にも問題点はありますが、具体と抽象が大きなウェイトを占めているのは、どうやらたしかなようです。

たとえば、日頃の勉強のやり方に関して「問題は数多く解いて、間違えた問題も何回も繰り返しているんだけど、なかなか点数が上がらない」という悩みをよく聞きます。

これも、具体と抽象という枠組みで捉え直すと問題点が見えてきます。というのは、数多く問題を解いている生徒は、言うなれば「具体」ばかりをやっているということ。極端に言えば、解いた問題の数だけ、解き方や答えを覚えようとすることに他なりません。ですが、少し考えれば分かるように、そんなことはほぼ不可能です。それだけ覚える記憶力があるなら、最初から問題を数多く解く必要もないでしょう。

そういう生徒を見ていると、問題を解いた後で答え合わせをする。〇×をつける。間違えた答えを正しい答えに直す。それはまあ、よしとしましょう。で、その後どうするかというと、次のページの問題をやり始めるのです。

ここで生徒には、間違えた問題の答えを写すだけでなく、「つまり、どういう間違いが多かったのか」、「つまり、どう解けばよかったのか」を簡単でもいいからまとめるようアドバイスをしています。問題点、解決法の「抽象化」です。スポーツやゲームに置き換えると、ルールを覚え直すということです。正しく解けなかったのは、正しい解き方(ルール)が身についてなかったからです。であれば、次の問題に進む前にやるべきは、正しい解き方(ルール)を覚え直すことです。

このように、「具体」と「抽象」の考え方、枠組みは国語の文章のみならず、他の4教科にも、あるいは宿題を進める過程にも、広く深く横たわっています。

ところで、①~③の中で②「因果」や③「対比」は、それほど意識せずとも普段から比較的実感しやすいものです。
「因果」の例 「急に雨が降ってきた。だから、濡れてしまった。」
「対比」の例 「数学よりも国語の方が得意だ。」

一方、①「具体」と「抽象」は、②や③と同様、身の回りにあるものの、普段意識されることは多くはなさそうです。
「具体」と「抽象」の例  「サッカー、野球、テニス。これらはスポーツだ。」

普段の会話ではそれほど意識しなくても会話が成立するからではないでしょうか。しかしながら、先ほども言いましたように、各教科を見ていくと、「具体」と「抽象」は数多く出てきます。普段の勉強をする上でも、それらを意識的に取り入れないと効率よく成績を上げていくことは難しいです。

以上の点から、勉強において「具体」と「抽象」は大事なポイントと言えますし、それらを意識的にトレーニングするのに国語の読解は非常に有効な方法です。

「国語は5教科の基礎である」の本当の意味は、このようなところにあります。

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